まだフランスに行った事が無い頃、日本在住のフランス人が、「日本の焼きたてパン屋のクロワッサンはフランス本国より美味しい」と言っていたので、永年その言葉を信じていたが、実際行ってみた感想として、私はそれは訂正したいと思う。
フランスのパン屋のパンは、クロワッサンに限らず、非常に美味しい。特にクロワッサンについては、フランスに軍配を上げたい。ずっしり、しっとり、パターがきいていて、日本のより風味がある。日本のは、とにかくさくさくしていて、軽いよね。全部が皮みたいでさ。
パン全体で言うと、日本とフランスの大きな違いといえば、習慣の違いがあるでしょうな。
フランスでは買い置きを前提としていないので、その日必要な分しか買わない。もっというと、朝の分は朝買って食べきり、昼の分は昼に買って食べきり、夜の分も同様に。間違っても一週間分なんて買い置きはしませんね。
だからフランスのパンは、翌日になるとがくんと味が落ちるが、日本のパンは、翌日も結構しっとりしていますよね。
理由として、日本人は買い置きする習慣があるので、翌日いきなり質が落ちるようなパンは店頭でも売れない。フランスのパンは、翌日にはバサバサだが、そもそも旧いパンを食べる習慣が無いので、日持ちの問題など論外。
日にちがたっても同じ風味を維持する、ある意味、高技術の日本のパンと、翌日は駄目になってしまうその日食べきりのフランスのパンと、どちらが贅沢かといえば、私は、後者だと思う。
とはいえ、日本のパンは非常に美味しいので、これには勿論満足しています。さすが職人の国の面目躍如、さるマネで本国をしのぐほどのものをつくるこの国に生まれて、私は、ラッキーでした。
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